戦後の建築界で独り哲学的な視座で思索し発言し続けた 建築家の故“白井晟一”氏のエッセイ集です。
文章は時代を感じさせますが白井氏の文章は すごくあたたかく魅力があり 建築に対する優しさ(愛)が伝わってきました。
この本には、白井氏が関わった建築を中心に 様々なエッセイ(43編)が綴られています。 5月に行ってきた「親和銀行本店 懐霄館」についても 書かれていました。 どれも興味深い内容でしたが 中でも「縄文的なもの」用と美についての「豆腐」 母と神・美について書かれた「めし」。 そして特に「華道と建築 日本建築の伝統」は かなり面白かったです。(伊勢神宮については必読) 巻末には白井氏の作品(写真)も多く掲載されています。
<文中より> 「室内装飾」ということでありますが これはもともと外国の言葉であります。 「装飾」というのは付け加えたものを言うのであって 建築の構成とはまた別個のことがらであります。 日本の建築の仕事は構成そのものに美的効果を 内在させることであり、従って 外国の建築に於ける「装飾」の意味と役割を 要求してはおりません。 日本の優れた遺構は例外なく 構造そのものに仕上がった建築の美の性格を 約束しているのであります。 室内の構成に於いても同様でありまして 美しい空間をつくっている用材の大きさ 窓や天井の高さ、比例などが みんな構成そのものに関係しているのであって 「装飾」による付け加えの効果を 待つまでもないのであります。
現在、建築に携わっている方や建築好きの人には 特にお勧めしたい本ですが 読んでいくうちに 服作りにも同じことが言えるのではないかと そう思えてきました。
最後に、一番心に響いた白井氏の言葉を。
地上に咲く花の美しさは、根茎の中に 既に約束されているのであります。
by rondeism2
| 2016-09-02 21:07
| 読書
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洒落者にはエロスのような悦楽の遊び心が存在する
by rondeism2
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