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読書:「無窓」

戦後の建築界で独り哲学的な視座で
思索し発言し続けた
建築家の故“白井晟一”氏の
エッセイ集です。

読書:「無窓」_f0202785_186659.jpg

文章は時代を感じさせますが
白井氏の文章は
すごくあたたかく魅力があり
建築に対する優しさ(愛)が
伝わってきました。

この本には、白井氏が関わった建築を中心に
様々なエッセイ(43編)が綴られています。
5月に行ってきた
「親和銀行本店 懐霄館」についても
書かれていました。

どれも興味深い内容でしたが
中でも「縄文的なもの」
用と美についての「豆腐」
母と神・美について書かれた「めし」。
そして特に
「華道と建築 日本建築の伝統」は
かなり面白かったです。
(伊勢神宮については必読)
巻末には白井氏の作品(写真)も
多く掲載されています。



<文中より>
「室内装飾」ということでありますが
これはもともと外国の言葉であります。
「装飾」というのは
付け加えたものを言うのであって
建築の構成とはまた別個の
ことがらであります。
日本の建築の仕事は
構成そのものに美的効果を
内在させることであり、従って
外国の建築に於ける「装飾」の意味と役割を
要求してはおりません。
日本の優れた遺構は例外なく
構造そのものに
仕上がった建築の美の性格を
約束しているのであります。
室内の構成に於いても同様でありまして
美しい空間をつくっている用材の大きさ
窓や天井の高さ、比例などが
みんな構成そのものに
関係しているのであって
「装飾」による付け加えの効果を
待つまでもないのであります。



現在、建築に携わっている方や
建築好きの人には
特にお勧めしたい本ですが
読んでいくうちに
服作りにも同じことが言えるのではないかと
そう思えてきました。


最後に、一番心に響いた白井氏の言葉を。

地上に咲く花の美しさは、根茎の中に
既に約束されているのであります。





by rondeism2 | 2016-09-02 21:07 | 読書
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