人気ブログランキング | 話題のタグを見る


読書:「小堀遠州 綺麗さびの極み」

千利休、古田織部に続いて、
新時代の茶の湯の世界を確立し
名建築家、名作庭家として
桃山時代から江戸時代を生き抜いた
総合芸術家“小堀遠州”の
「綺麗さび」の世界観が
多くの作品(写真掲載)と共に
紹介されています。

読書:「小堀遠州 綺麗さびの極み」_f0202785_22105770.jpg

先達とは一線を画した遠州の美学とは、、、
桂離宮にも影響を与えた「遠州好み」は
遠州の好きなものという意味ではなく
“わび・さび”の利休や
“かぶき(傾き)”の綾部の主観とは違う
何にしても使う人あってはじめて
成立するという
客観性に重きを置いた
“思いやり・気配りの美”なのです。

「月満つれば則ち欠くる」
完全なひとつ手前のところが
最も生命力があって美しい
というのが遠州の美学
「綺麗さび」と言われ
遠州には、日本独特の「自然(じねん)」と
意図的な「作為」の両極端の思想があり
自分の中にある沢山の引き出しを
自由自在に組み合わせ
その両極端のものを両方してしまうという
成型でありながら成型を消していく
バランスの持ち主だったそうです。



<文中より>
建築的に見ても利休と遠州では
対極ですからね。
利休は、それまでのしきたりを
とことん一点に絞り込んでいった。
これが草庵のお茶室の「正」だとすれば
次の世代の織部は
それを全部ひっくり返して
「反」の世界を造った。
すると今度は「合(ごう)」というのが
必要になってくるんです。
「正」も「反」も取り込んでいるけど
もうひとつ別の世界を開いていく。
これこそが遠州の特徴だと思うんですね。
三人が三様に
非常に綺麗にある形を組み立てて
完成させていったのです。
(建築家:磯崎 新 談)



利休の美意識もかなり興味深いのですが
対極にある遠州の
美意識と手法(演出)等も
すごく興味深い内容でした。
もっと深く勉強して
ジャンゴの服作りに
役立てたいと思います。

この本を読み終えた後に、写真ではなく
やはり本物の作品を直に観たいなぁと
切に思いましたねぇ。




by rondeism2 | 2016-06-29 20:52 | 読書
<< VINTAGE GALLERY... 20世紀初頭フランスの人々③ >>